衝動下記
地下鉄のホームで
ギターを持ったバンドマンが女子高生をたぶらかしているのを見たんだ
彼女はバンドマンが持つべきギターを持って歩いていて
別れ際にバンドマンに渡した
彼女はずっと笑顔だった
バンドマンは下卑た顔をして、TPOを弁えずにキスを迫った
彼女は笑顔で受け入れた
ああ。ぼくは思った
彼女はそんなことするために生まれてきたのではない
彼女だってあんなバンドマンよりも輝ける道があるはずなのだ
ただ世間を知らず、バンドマンしか知らないだけなのだ
ものすごい勿体無さが俺を襲った
と同時に
これは俺自身に向けられている感情ではと思った
(ここで自分に戻ってくるあたりが自意識過剰だと思うが
俺は未だに何も持てない中途半端野郎であり
恥ずべき消えるべき存在だと思ってしまうことが多々あるが
そんな俺を見て、尊敬すべき彼はどう思うだろうか
俺を認めてくれる人たちからも同じまなざしでみられてやしないか
目を覚ませと
ぼくが思ったことは
大変に彼女とバンドマンのカップルを侮辱していることは百も承知だし
尊厳とかそんなのなくて、ステレオタイプの妄想に過ぎないことも知ってる
そこから自分を省みることができたことは
良いことなのかい?
それとも自意識が過剰なだけの病のようなものなのかい
わからない。
けど、こうして書きたかったぐらい衝撃的だったということ
それだけは伝わって欲しいと思う